私って「もしかしたら発達障害かも?」
私って、わが子って、少し人と違うかも、そんな不安に陥った時、ネットで調べると「発達障害」に当てはまるのではないかと思った人もいると思います。「本当にそうなのか・・・」「でも病院に行くのは怖いし、誰に相談したらいいのか・・・」等、その後どうすればいいのか分からないという人もいると思います。
ますは、発達障がいの種類や特徴を理解しましょう。そして、気になる行動への対応や治療法などについて学びましょう。自分が発達障がいかもしれない、もしくは家族や近しい人が発達障がいかもしれない。そう思った時に参考にしてください。
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発達障害とは
さて、発達障害とは何か?
発達障がいとは病気ではなく「生まれ持った脳機能の特性」です。以前は、愛情不足や養育環境などにより起こると思われていました。しかし、原因は解明されていない部分があるのですが、発達障がいの人は生まれつき脳の特定の箇所の働きに偏りがあるというところまではわかっています。
つまり、親や養育者の愛情や環境の問題でないではないのです。
発達障がいの種類
発達障害は、特徴によって種類も大きく異なります。
ASD(自閉症スペクトラム症)
ASD(自閉症スペクトラム症)はコミュニケーション・対人関係の困難や、環境の変化への極度な嫌悪、感覚過敏が主な特性とされています。
以前は「自閉症」や「アスペルガー」と呼ばれていたものが、今はその症状には軽いものから重いものまで連続性があり、それぞれが別ものではないとされており、「自閉症スペクトラム症」と呼ばれるようになりました。症状の濃淡と連続性を表すグラデーションという捉えです。
ASDは、知的障がいがある・ない、によって大きく区別され、知的障がいがない軽い症状(軽度)の人は幼児期に気づかれないまま大人になり、社会生活の中で生きづらさを感じる人も多いのです。
ADHD(注意欠如多動症)
ADHD(注意欠如多動症)は「不注意」「多動性」「衝動性」が主な特性として知られている発達障がいの一種です。
授業中にじっとしていられない、忘れ物や無くしものが多い、などの特性があります。その時の思いつきで行動するため、注意散漫で突発的行動が多いため段取りをつけて何かをこなすことが難しいのが特徴です。
成長とともに緩和されていくとも言われています。しかし、先天的な機能障がいのため完治は難しいと言われます。
ただ、発達障害による先天的な特性か、かまってほしいなど、愛着に起因する問題行動なのかを見極める必要があります。見極め方としては、場所や人に関係なく注意散漫・突発的であるかどうかです。つまり、愛着の問題であれば、人や場所を選んで行っているのです。
その他の発達障害
先述した2つが主な発達障がいの種類ですが、その他にも発達障がいはあります。
チック症
チック症とは、意図しない運動や音声が、急に、繰り返し出現するするため、仕事や日常生活に支障をきたす病気です。就学前後に発症することが多いですが、チック症の原因はまだ詳しくはわかっていません。「まばたき」や「顔をしかめる」「首振り」「うなずき」などの運動チックと「ンンなどの発声」「鼻すすり」「咳払い」などの音声チックです。
注意欠陥・多動性障害や強迫性障害と合併することが知られており、ストレスや疲労などで症状が出ることもあるようです。幼児期での発症が多く、成長に伴いなくなることが多いようです。また男児に多い傾向があります。
吃音症
吃音とは、話す際に言葉が滑らかに出てこない発話障害のことをいいます。
吃音の読み方は「きつおん」といい、主な症状として話す際に「一部の音を繰り返す」「言葉を引き伸ばす」「言葉がなかなか出てこない」などがあります。
なお、吃音は以前は「どもり」とも呼ばれていましたが、差別的な表現ということで現在は使用されるません。
吃音のほとんどは2〜5歳に発症します。成長とともに自然治癒することが多いと言われていますが、大人になっても症状が治まらなかったり、大人になってから発症する場合もあると言われています。
ASDの特徴
他者とのコミュニケーションが苦手
ASDの人は、相手の言葉や意図を想像する力が弱く、人と円滑にコミュニケーションを取ることが苦手です。
ASDの基本特性の一つは、「対人関係や社会的なやりとりの障害」です。人との関わりが苦手で、場の空気を読みとり、比喩や皮肉、相手の気持ちや暗黙のルールを理解することとなどの難しさ、言われたことを表面的に受け取ってしまうなど、社会的な場面での困難さが持続することを指します。
ASDのもう一つの基本特性は、「こだわり行動」です。物の配置、物事の順番、勝敗、自分のやり方への強い固執、興味や関心の極端な偏りなどを指します。こだわりの程度や種類はひとり一人異なります。たとえば、社長に手伝いを頼まれた時に、普通は通常以上に頑張りを見せようとする場面でも「自分の仕事ではないから関係がない」と本気で思って行動してしまう傾向にあります。
そのほかにも、手先が不器用、感覚刺激に過敏・鈍いなどの特性が見られることもあります。
結果的に大人の場合は『空気の読めない人』『扱いづらい人』として扱われてしまい、子どもの場合は周りに馴染めずクラスで孤立しがちです。
言葉が遅れている
知的障がいを伴うASDの場合、発語が遅く、言葉が遅れるのも特徴の1つです。
一般的に子どもは1〜2歳で意味のある言葉を話し始め、3歳では2語文が話せるようになりますが、これらが出てこない場合は発達障害の可能性があります。それぞれ1歳半検診、3歳児健診でチェックされる項目でもあります。
また聴覚機能など、別の原因の場合もあるので、きちんと診断してもらいましょう。
感覚過敏 or 無関心
たとえば人混みが極端に苦手で生活しづらく感じたり、子どもであれば不安で突然大きな声を出して泣き叫ぶなどの特性には注意が必要です。
聴覚、視覚、嗅覚、触覚、味覚といった感覚の内1つ以上に、知覚過敏になる感覚があるのも発達障害の特性の1つです。
強いこだわりを持っている
環境の変化への極度な嫌悪というものがあります。特定の物事に対してのこだわりが強く、同じであるということへのこだわりが非常に強いのです。これはASDの特性を疑う必要があります。
たとえば「決まったルーティンでないと調子を崩す」「予定変更に弱い」などです。子どもであれば「常に同じ帽子でないと癇癪を起こす」「机の上の物の配置にこだわる」などはよく聞かれます。
ADHDの特徴
主な特性として「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性で知られているのがADHD(注意欠如多動症)です。
ASDと同様、ADHDの人がこれら全ての特徴を持つ訳ではありません。特性の偏りに応じて特徴は変わります。
忘れ物や失くし物が多い
注意散漫で、周囲の掲示物が気になったり、言われたことをすぐに忘れたり、何か落としても気づかなかったりという特性は、ADHDの人の特性です。
約束を守れない
ADHDの特性を持つ人には、「約束を守れない」という特徴がよく見られます。
ADHDの人は注意力が散漫で、優先順位をつけることが苦手です。大事な約束があっても、別件の連絡が入ると、元々の約束を忘れてしまうことがあります。
先を見通すのが苦手で、予定に遅刻することが多いのも非常に多い特徴です。
同じ間違いを繰り返す
注意欠如であることが多いため、単純ミスが多い傾向にあります。興味の対象がすぐに別のことへ移ってしまうためです。
同じようなミスを何回も繰り返してしまい、上司から「ミスが多すぎる」「何度も同じ間違いをする」と何度も言われがちです。
人の話を遮ってしまう
自分が興味のない話には集中できず、つい相手の話を遮って自分の話を始めたりしがちなのもADHDの特徴の一つです。注意欠如と多動性という特性から、集中して人の話を聞くことが苦手なのです。
そのため自分が興味を持てない話題の時は、つい目の前の話とは全く違うことに意識が向き、頭の中では全く別のことを考えてしまったりします。目の前の話を聞かないまま、急に頭の中で考えていることを話し始めたりするため、人の話を全く聞かないと捉えられてしまうのです。
SLD(限局性学習症)
SLDは、特定の学習において困難を抱える状態を指しますが、実は多くの人がこの障害についてあまります。
SLDとは?
SLDは、過去には「学習障害(LD)」と呼ばれていました。特に「読み」「書き」「算数」に関する学習に困難を伴うことが特徴です。しかし、知的能力には遅れがないため、全体的な理解力は正常な範囲にあります。つまり、特定の学習機能だけが苦手ということです。
SLDの種類
SLDには主に3つのタイプがあります。
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読字不全(ディスレクシア): 読むことに関する障害で、文字や単語を音に変換するのが難しい状態です。これにより、読書が苦手になり、学業に影響を及ぼすことがあります。
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書字障害(ディスグラフィア): 書くことに関する障害で、文字を書く際の運動能力や表現力に困難があります。手書きの文字が不明瞭になったり、文章を書くのが苦手だったりします。
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算数障害(ディスカリキュラ): 数学的な計算や数の理解に関する障害です。計算が苦手で、特に繰り上げや繰り下げの計算が難しいことがあります。
SLDの特徴
SLDのある子どもたちは、一般的に知的発達に遅れはありませんが、特定の学習においては大きな困難を抱えています。例えば、読みの速度が遅かったり、書く際に文字が不明瞭になったり、数字の計算が苦手だったりします。これらの困難は、学業だけでなく、日常生活にも影響を与えることがあります。
支援と対策
SLDのある子どもたちには、特別な教育的支援が必要です。個別の学習プランや特別支援教育が効果的で、子どもたちが自分のペースで学べる環境を整えることが重要です。また、家庭でも、得意な分野を伸ばし、苦手な部分をサポートすることが大切です。
気になる行動に気づいたら?
早めに診断を受けることが重要です。発達障がいは病気ではなく特性です。従って、周囲の人がその人の発達障がいの特性を理解し、早いうちから適切な療育につなぐことで、社会に適応できます。
「発達障がいかもしれない」と思った時の相談窓口や情報収集先をいくつかご紹介します。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。
発達障害児(者)とその家族が豊かな地域生活を送れるように、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)とその家族からのさまざまな相談に応じ、指導と助言を行っています。
ただし、人口規模、面積、交通アクセス、既存の地域資源の有無や自治体内の発達障害者支援体制の整備状況などによって、各センターの事業内容には地域性があります。詳しい事業内容については、お住まいになっている地域の発達障害者支援センターに問い合わせてください。
医療機関
地域の医療機関に相談しても発達障がいの診断や相談を行ってくれます。発達障がいの検査や診断は「精神科」や「心療内科」で行っています。発達障がいを扱っているかどうかは、一度お近くの医療機関にお問い合わせください。また医療機関のリストや相談窓口を公開している自治体もあります。
発達障害教育推進センター
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愛着障害と発達障害、この二つの違いを、最も明確に、且つわかりやすく解説してくれている先生がいる。和歌山大学教授の米澤先生である。
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