障害と愛情不足、そしてその掛け合わせ
子どもの非行に、どうしたらいいか、何故こうなったのかと、悩んでしまっている方も多いかと思います。
非行の原因は2つ、しかし難しいのは、この2つの掛け合わせ
原因と対処法について解説します。
①非行の原因 障害
非行の原因の一つ目は
そもそも脳に障害がある場合があるというものです。
と言われるものです。
脳の障害が原因ですので、一般的な叱り方や注意は逆効果になります。
その種類と特性に応じた対処法が必要です。
それは後程話します。
参考
発達障害とは・・・軽度の発達障害であるASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如/多動症)などは、知的には遅れがない、あるいは平均値以上の知力を持つ場合があり、診断がつかず「気になる子」「困った子」扱いされることが多い。
②非行の原因 愛情不足
非行の原因の2つ目は愛情不足
文字通り、愛情が不足しているために起こります。
ほぼ同じ意味で、愛着障害という言い方もあります。
親、或いは親のような存在からの、必要な愛情を注がれなかったことが原因です。
対処法は、後述します。
非行の原因が、発達障害の場合の対処法
聞いたことはあっても、まだまだ正確に理解されていないことが多い障害です。
そして、「障害」という言葉に、親としては抵抗感が生じてしまい、対応が遅れがちになってしまうことが非常に多くあるのです。まさかうちの子が障害?、と。特に軽度の場合は。
発達障害とは・・・軽度の発達障害であるASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如/多動症)などは、知的には遅れがない、あるいは平均値以上の知力を持つ場合があり、診断がつかず「気になる子」「困った子」扱いされることが多い。
基本的には、こだわりが強いとか、衝動性が高いとかいった特性があるのですが、最大の特性は相手の気持ちがわかりづらい、ということです。
相手の気持ちがわからないことに対して、普通、私たちがとる対応は、愛と情熱による説得です。
しかし、脳の障害(程度は個人差あり)があるため無理があります。
ですので、そのような特性がある感じられたら
①まずは、児童相談所や思春期専門の精神科の病院に相談してください。
②発達障害についての知識を高めてください。
ただ、他のページにも書きましたが、 大切にしてほしいことは「困りごとに気づく」です。障害があってもなくても同じなのです。 できる限り、それを取り除いてあげてください。
下に、非常に有効な対処法を確立されている専門家の書籍を紹介しますので、是非知識と理解を得て、トライしてもらえたらと思います。
非行の原因が、知的障害の場合の対処法
知的障害の子どもへの対処法も発達障害の場合と似ているのですが
こちらは知的な理解力の不足ですので、日常的な数字や文字ですら「能力的にわからないことが多い」ということへの根本的な理解が必要です。
特に気を付けてほしいのは、障害を持っている子ども(大人の場合も)は理解できていなくても、こういう反応をしたら叱られなかった、こういう振る舞いをしたら相手が引き下がった、などという間違った学習をしてしまい、一見生活できているかのように見えることが多いのです。
例えば、こんなことに気付いたことはないでしょうか
分からない時は愛想笑いをしてやり過ごす 分からなくても、ある表情をして黙っていたら周囲が助けてくれる ある時親に反発したらしたら、それからは親が(怖がって)注意しなくなった
周囲には「分かっていそう」、「愛嬌がある」「変な人」、「難しい人」という誤解のまま進み、対応困難な非行少年と捉えられてしまい、愛と情熱による説得をしてしまうことが多いのです。
しかしやはり、脳の障害(程度は個人差あり)があるため、それには無理があります。
ですので、
①まずは、児童相談所や思春期専門の精神科の病院に相談してください。
②知的障害についての知識を高めてください。
ただ、他のページにも書きましたが 大切にしてほしいことは「困りごとに気づく」です。障害があってもなくても同じなのです。 できる限り、それを取り除いてあげてください。
下に、非常に有効な対処法を確立されている専門家の書籍を紹介しますので、是非知識と理解を得て、トライしてもらえたらと思います。
非行の原因が、愛情不足の場合の対処法
まず、「愛着の5要素」というものを確認してください。
安心感 一緒にいても傷つけることがない
応答性 求めている時に応じる
共感性 何を求めているかを察する
安定性 一貫した対応をする(気分や都合でなく)
何でも話せる 相手の気持ちを尊重する
これらを全て兼ね備えることは当然難しいでしょう。 しかし、これらはどれも大切なこと。少しずつでも意識し、実践してください。
次に、愛着の修復のイメージですが
●赤ちゃんのころからやり直す ●自らの価値を肯定してもらえる体験を積む
赤ちゃんは話せませんが、小学高学年・中学生は話せるますし、何でも大人並みにできます。この年齢くらいからは、指示されたことだけでなく、指示されたことを基に自分なりに考えて行動することが求められます。
しかし、こんなやり取りがおこっていませんか? ➡「ちゃんと説明して」「自分でできるはずでしょ」 それに対して返答は ➡「知らん」「ほっとけ」「うっとおしい」
中学校家庭科の教科書にこんな一文があります
・・・・・赤ちゃんは自分の要求や具合の悪いところを正確に伝えることができないので、病気や異常を早く発見するには、顔色、食欲、温便の様子など、日頃の健康状態を知っておくことが必要である。・・・・・
赤ちゃんは話せないし、自分では何もでないから 養育者が色々なことを察知してやらないといけない、と書いているのです。
一方、小学高学年や中学生はどうでしょう。 大人並みに話せるし、大抵のことはできますよね。
だから ➡「ちゃんと説明して」「自分でできるはずでしょ」
しかし、返ってくる反応は「知らん」「ほっとけ」「うっとおしい」
この反応の意味を考えてみてください。 子どもは、自分のことを、自分の気持ちを説明できるのであれば、ちゃんと説明しますし、ちゃんとします。
そこで、先ほどの赤ちゃんに関する文の主語を「知らん」「ほっとけ」「うっとおしい」という子どもと置きかえてみます。 (もちろん、「温便」は除きます。「健康状態」は「状態」にします)
・・・・・「知らん」「ほっとけ」「うっとおしい」という子どもは自分の要求や具合の悪いところを正確に伝えることができないので、病気や異常を早く発見するには、顔色、食欲の様子など、日頃の(健康)状態を知っておくことが必要である。・・・・・
つまり
「知らん」「ほっとけ」「うっとおしい」という子どもに対しては、上手く言えない、言いづらい体や心のことを察知してやらないといけない
ということなのです。
この時期の、こうした反応をする子どもは、なぜ何故自分が自分がイライラしているのかに、自分でさえわからなかったりもします。
言い換えると自分の気持ちをとらえるのが苦手だし、言語化が苦手ということなのです。
小学高学年や中学生だからといって、「自分のことは自分でする、自分のことは自分で言う」という段階に、何かしらの原因でそこに至っていない子に、「ちゃんと説明できるはず、自分で考えてできるはず」、と接しても気持ちが離れるばかりです。
そこで大切なのは、よく申し上げる関わる者が、本人が何に困っているのかを知ることなのです。
そして、最後に役割と責任を持つ、です。
「自分にもできることがある」 「自分も人の役に立てる」
という自己肯定的な体験を持たせてやることが、この年齢の子どもと赤ちゃんと大きく違うところです。是非、小さなことから役割を与えてあげてください。小さな役割をこなし、その責任を果たすことで、達成感が得られる、そうすることで自分にもできる、役に立てたという実感が得られるのです。これが、自己肯定感を高めるのです。
こうした愛着の修復は、特別な関わりをしてやる存在に誰かがなること。理解してもらいたいことは、それは、いつからでも誰でも可能ということです。もっと詳しくは、下にある書籍を参考にしてください。
最も難しいのは、障害に愛情不足が掛け合わされること
発達障害、知的障害が脳の障害であることを十分理解せず、愛と情熱によるしつけや注意で育てようとした場合、子どもは二重の苦しみを味わうこととなります。
この場合の対応は非常に難しいです。というのは、二重の苦しみで子ども本人の障害が深刻化してしまっていることが多いからです。
①まずは障害の部分への対応が必要です。児童相談所、思春期専門の病院へ相談してください。
➁愛情(愛着)の部分については、①への理解をしつつ、できるだけ今現在の時点で本人が困っていることを整理し、どんな状態でも、まずは見放さないよという姿勢だけ崩さないようにしてください。
大事なことは、ベースに障害があって、その大変さで、いつしか愛情が注げなくなってしまった。ということを客観視することです。親、養育者は頑張ってこられたと思います。そんなつもりもなかったと思います。この掛け合わせこそ、とても難しいので、無理がない部分はあるのです。今から一つ一つ出来ることからする、という気持ちを大切にしてください。
おすすめの勧めの本
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