パーマネンシー　　子どもたちに家庭を。養子縁組は手段の1つ。今、注目されている福岡市の取り組み

福岡市では、全ての子どもが「一緒に生きていく家族」と安心して暮らせる社会を目指して活動しています。子どもの成長における「パーマネンシー」の重要性を注視しています。

子どもたちの未来を描くために

子どもが成長する過程で、「同じ未来を描ける大人」のもとで育つことは非常に大切。安全な環境だけでなく、永続的に同じ家族のもとで育つ権利を保障することが、子どもたちの将来への力となります。このためには、親子が分離しないことを最優先に、市区町村や児童相談所がどのようにケースマネジメントを行うかが重要というのです。

児童相談所の役割

全国に225カ所設置されている児童相談所は、家庭への相談や指導、虐待やネグレクトから子どもを守るための一時保護など、子どもの権利を守るための総合的な支援を行っています。2016年の児童福祉法の改正では、養子縁組に関する相談や支援が新たに規定され、社会的養護が必要な子どもは里親や養子縁組などの家庭養育を優先させることが明記されました。

しかし、現在も約8割の子どもたちが乳児院や児童養護施設で生活しており、特別養子縁組の成立件数は年間2件に満たないのが実情です。

そして、福岡市の取り組み

福岡市では、里親委託率が59.3パーセント、特別養子縁組の成立件数が14件と高い実績を出しています。この成功の背景には、「パーマネンシー」を重んじる方針があり、児童養護施設で暮らす子どもが早い段階で家族や親族のもとへ移るための支援が行われています。

子どもが家庭で育つ環境を整えるために、予防的な支援やソーシャルケアの重要性を強調しています。子どもたちが安心して成長できる環境を整えることが、彼らの未来を明るくする第一歩となります。

家族とのつながりの重要性

「親、もしくは生涯にわたって親代わりになってくれる大人と一緒に暮らす」という経験は、子どもが自分の将来を想像し、組み立てるための大きな助けとなります。家族との交流が途切れたまま自立していく抱える課題を抱える彼らは、成長するにつれて里親委託が解除されることや、信頼できる大人がいないことに不安を感じることがあります。

早期支援の重要性

ある担当職員は、かつて生活保護のソーシャルワーカーとして、多くの孤立した子どもたちと関わってきました。その経験から、早期に家族のもとへ戻るための支援や、親族養育・養子縁組などの判断を早めに行うことが重要だと考えるようになったそうです。

みんなで支える社会へ

福岡市では、地域のNPOや大学と協力し、親子のつながりを保つための支援を充実させています。妊娠相談や産前・産後の母子支援、育児ヘルパーなど、多様なサービスを提供することで、孤立を防ぎ、子どもたちが安心して成長できる環境を整えています。

最後に

私たち一人ひとりが子どもたちを支えるためにできることがあります。地域の活動やNPOの取り組みに参加することで、子どもたちの未来を明るくする手助けができるかもしれません。福岡市の取り組みは、私たち一人ひとりが一緒に子どもたちを支える社会をいきずくことの大切さを、パーマネンシーという観点から気付かせてくれるのではないでしょうか。