子どもの性の非行が増えている

心に闇を抱え性非行に向かいつつある少年 非行

子どもの性の非行についての相談

年下の男児にわいせつ行為をしてしまう少年

(相談内容は脚色しています)子どもを預かるお仕事をされている方からの相談だった。弟の陰部に性的ないたずらを繰り返し、また、近隣の年下の男の子にわいせつ行為を働いたという。その方のホームが、その子を家から切り離して預かることになった。しかし、その方のホームでも、同居の子どもさんに性的いたずらをしそうになっていたことが、他の子どもさんとの話から発覚した。

なぜしてしまうのか

本人に、なぜそんなことをするのか、相手の気持ちを考えることはできないのか、と問うても、分からないと黙り込むのだという。すねているというわけではなく、本当に分からないのだと。もう二度とやらないかと聞くと、それも分からないと。ある意味正直に答えていると思われるがゆえに、今後の支援に限界を感じたとの性の非行の相談だった

性の非行の背景にある被害的な環境

このようなケースについて、支援者や教育者とは言え一般的な率直な感想は、病気なのではないか、或いは懲らしめる必要があるのではないかというものである。つまり、治らない、治すとしても病院での治療や強い反省の促しが必要なのではないかというものだ。

ただ、それなりの数の相談を受け、対応してきた私の経験では、医療や懲らしめが功を奏したケースはほぼないに等しい。というのは、性の非行というものには、必ずそれに至る背景が、原因があるからだ。そして、その多くが被害的な環境によるものが多い。被害的な環境とは、愛情不足、つまり愛着障害というものだ。そこに対しての何らかのアプローチが必要なのだ。

しんどい気持ちをまぎらわす行為としての性非行

子どもに限らないが、人は不足しているものは何らかの形で補おうとするものだ。しかし、こと愛着の不足となると、程度によっては深刻な問題となる。補い、埋め合わせは、温もりが欲しいという接触型の性の問題行動に至ってしまうことも多い。

適切な愛着形成では、生まれて以降、主に母親から抱っこや手つなぎなどのスキンシップを多く受ける。成人までの成長過程で減っていく。最終的にはほぼなくなっても、幼少期や児童期に得られたスキンシップが気持ちの安定のベースとなり続ける。

このケースの子についても、正にこの愛着の問題があった。早くに親に捨てられ、愛情に飢え続けて来たのだ。

これからの支援~本人を知る

では、これからどうすればよいのか。答えは、愛情不足の補い方に目を向けなければならない、である。この男の子でいえば、性的な温もりで愛情不足を補っているわけだが、その思考を変えていかなければならない。

思考を変えるには、まず、それに至った経過を、何があったのかをできるだけ知ることが大切。そして、できるだけの改善の手がかりを得たほうがよい。そのためには、偏見を持たず、じっくりと情報を得ていくしかないのだ。

情報を得るには、例えば本人に「聞く」というものがある。しかし、聞き方にも色々な工夫がある。様々な聞く場面を設けたり、人を変えたり、学校の先生と協力したり、或いは他の協力者の力を借りたり・・・。本人を知るということは、本人を理解することにつながるのだ

これからの支援➁~本人が自分を知る

まずは、支援者や教育者、或いは養育者が、偏見なく改めて本人を理解する。その後にやるべきことは、本人が自分自身を知るということである。性的な問題行動に限らないが、問題行動を起こす子どもは、愛情不足を紛らわそうともがいている。つまり、自分自身が捉えられずにいるのだ。

大人でも、迷いに陥った時は自分自身を見失うことが多い。冷静に自分を見つめ直すことが出来れば、迷いから早く抜け出せるが、そうはいかないことも多い。ましてや子どもは。問題行動を起こしている自分が今、どういう状況であるのかを客観視できるようにしてやるのだ。客観視といっても、年齢や知的レベル、その他の障害や限界もある。なので、教え方は個々に工夫はいるが、できうる限り本人に自分自身を捉えさせてやることが大切なのだ。

これからの支援③~愛着の不足を補う性的問題行動以外の方法を見つける

関わる者が本人を理解し、本人も自分自身の愛着の不足が性の非行問題につながっていることを理解できるところまで来たら、ここで初めて問題行動以外の愛着の補い方を見つけていく話に入っていくことが出来る。よくある失敗は、本人理解をしないまま、問題行動の改善に手を付けることである。スポーツで言えば、本人が基本的なボールの受け方、投げ方を十分わかっていないのに、何故できないのか、こうすればいいだけじゃないかなどと叱責してしまうようなものだ。本人は、更に傷つくかもしれないし、腹を立てるかもしれない。まずは己を知り、次に策を考えることが大事なのだ。

問題行動以外の愛着の補い方は、子どもの関心ごとや能力、困りごとといった様々な切り口で考えることになる。いずれにしても、問題をどうすれば避けることができるかを考えるのだ。

児童相談所、家庭児童相談室(家児相)などへの相談も有効

そもそも性的な相談というのは、多くの人にとって非常にしづらいものである。特に身近なひとには。また、専門性が必要でもあるのだ。そういう意味では、児童相談所や家庭児童相談室(家児相)、或いは性非行を専門分野とする精神科、心理治療の病院に相談するのは非常に有効である。

順序としては、まずは児童相談所や家児相に相談することをおすすめする。これらの機関は、相談内容に応じた病院や学びの会などを紹介してくれる。また、相談所が実施している専門プログラムにつないでくれることもあるからだ。いずれの場合も、先述したように、ますは関係者が加害の背景にある被害を知り、偏見なく本人を理解することが大切。そして、本人が本人自身について知り、問題行動について学び考えるということが大切なのである。

性の非行に限らないが、非行の原因は、愛着の欠如の問題は多くある。そもそもその前に知的障害や発達障害といった先天的な機能の問題が存在する場合もあるので、愛着障害への理解と併せた知識を積み上げる必要もある。(非行の原因は2つ、でも難しいのは2つの掛け合わせ )以下に、その参考となる本を紹介しておく。

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愛着障害・愛着の問題を抱えるこどもをどう理解し、どう支援するか?           アセスメントと具体的支援のポイント51

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ケーキの切れない非行少年たち

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